正装

 12月の終わり。およそ1年前に入籍して、今回初めて結婚記念の撮影をするという友人夫妻。ふたりともすっかり正装で寒い寒い公園に現れました。

 事前に服装について相談を受けた私は、寒い季節なので無理をしないで普段の二人でも素敵なのでは?とアドバイスしていました。正装の二人を見て、今日の撮影を特別なイベントとして準備してくれたんだ!と、撮影前から嬉しくなったのと同時に、改めてカメラを持つ手にも力が入りました。 

 というのも、この日撮影した友人は学生時代、よく一緒にバカなことをしていた友人で、お互い結婚した今も酔っぱらって泊まって行ってくれるような仲なので、この日も正装の二人を見るまでちょっとだけ気楽に撮影に向かってしまったのです。

 そんな友人なので、「かわいい」なんて言うのはとても恥ずかしく、できれば避けたいくらいだったのですが、正装で少し照れている二人をファインダー越しにのぞくと、二人とも本当に幸せそうで、かわいくて、思わず「やばい!かわいい!」と笑いながら写真を撮っていました。

 友人がいまの旦那さんとおつきあいしていた頃から、本当に素敵な方と出会ったんだろうなー。幸せそうだなーと思っていましたが、ファインダーを通してみると二人の、お互いに対する穏やかな信頼を感じ、私も改めて嬉しい気持ちになりました。

 今のところ式や披露宴を予定していないという友人は、当日「写真ももう二度と撮らないだろうとおもって正装できた」と話し、先日納品した写真もその日のうちに自宅に飾ってくれました。

 飾らずに、みなさんの今を、クールじゃなくてもいい、プロっぽい写真を撮るんじゃなくて、親戚のような視線で一生懸命撮影したいと心がけている出張写真館ですが、それと同時にみなさんがそれぞれ特別なイベントとしてプロカメラマンの撮影を楽しみにしてくれていることも忘れちゃいけないなと、おしえてもらった撮影でした。

 あらためて、結婚おめでとう。これからもよろしくお願いします。